サービス産業は日本のGDPの7割近くを占めている重要な産業です。ところが、日本のサービス産業は欧米と比較すると生産性が低いと言われており、顧客サービスにおける「生産性の向上」が大きな課題となっています。ここで言う生産性とは、顧客サービスの担当者が単位時間に接客できる人数と顧客の満足度の両方を指し示します。つまり、顧客サービスにおける生産性の向上は、商品を顧客に紹介したり、顧客からの問い合わせに応じ取引注文に対応するなどの業務の時間効率を高めつつ、顧客満足度を維持向上することにより達成できると言えます。生産性の向上においてボトルネックとなっているのは「人手不足」、「スキル不足」、「IT化の遅れ」であると言われていますが、どの対策をどの程度行えば最も効果的であるかは、様々な要因が複雑に絡み合った系であるため、容易には判断できず試行錯誤が繰り返されている状況にあります。

当社は、東京工業大学統合研究院・鴨志田晃特任教授の「SCIM(Smart Customer Interaction Modeling)技術による顧客サービスの最適設計と生産性向上の実証」((独)産業技術総合研究所の平成20年度「サービス研究センター基盤整備事業」採択事業)に参加し、東京工業大学で開発されたコンピュータモデリング技術であるSCIM技術を活用した、サービス産業における顧客ニーズとサービス事業者のサービス提供能力とのミスマッチの検討や、生産性を向上させるための効果的な施策のシミュレーションによる実証を行うことができました。SCIM技術ではマルチエージェントシミュレーションをベースに、顧客の心理データとサービス提供者の能力パラメータを取り入れたモデルを構築することにより、現実に即した顧客行動を再現することが可能となりました。