原子のエネルギー準位、振動子強度などの基礎的原子構造データは先端的光量子光源の開発やプラズマ研究をはじめとする諸分野に欠かせないものです。全ての原子種について実験データは利用可能ではなく、測定自体が現実的でないものも多々あります。その場合、波動方程式を解き、解から必要なデータを得るしかありません。しかし、多電子原子の波動方程式はH、Heなど数例を除くほとんどについて解析解は得られていません。

そこでHF(Hartree-Fock)法をはじめとする数値的に方程式を解き、数値解を求める手法が発展しました。数値解析は電子相関項の評価に大きく依存します。現在、原子特性計算で広く用いられているプログラムに原子の相対論的波動関数をMCDF(multi-configuration Dirac-Fock)法で解くGrasp92があります。このコードは公開されており、多電子配位を上手く取り入れることによって電子相関効果を適切に記述できる反面、自由度が高く決まった計算手順といったものが存在しません。計算には経験と原子に関する知識を必要し、計算結果も専門知識による評価が欠かせません。Grasp92を知っている研究者は少なくないと思いますが、Grasp92のコードを拡張したり改訂できるくらい特殊な知見と経験を有する研究者集団の会社は他にありません。

下の図表はMg原子(気相)の光イオン生成スペクトルです。このスペクトルはエネルギーキャリブレーション、バックグラウンドの除去等前処理を行った上で共鳴構造にカーブフィッティングを行い共鳴エネルギーを決定し、それらをGrasp92によって計算した原子レベルの値との比較を示したものです。

上述の一連の解析処理は関連諸分野へ応用可能であり、実験データを研究成果へと生まれ変わらせる基盤をなす技術です。当社は「大学教員のなりそこね」が集まった会社ですが、世界でたった一つの、特殊な研究者集団の会社であることに誇りを持っています。ご活用いただきたいと思っております。